破傷風



受診科:内科・外科・感染症科
破傷風はしょうふうは傷口から破傷風菌が入り込んで、脊髄や末梢神経などを侵します。全身の筋肉にけいれんが起こり、患者の約半数が死亡するという怖い病気です。

原因

破傷風菌はふだん土の中などにいます。けがや、やけどの傷口からこの菌が体内へ入り込むと、傷そのものが治ったあとも菌は活動を続け、毒素を生産しながら増殖します。

この毒素が神経を伝わって、脊髄へ達し、筋肉のけいれんを引き起こすのです。錆びた釘、汚れた木片などで刺した傷がもとになることがとくに多いです。土の上で転んだときの傷も要注意です。

症状

見た目の傷は治っても、病気は体内で進行するので注意を要します。

また、傷口が化膿するかどうかは、破傷風菌と直接の関係はありませんから、判断の材料にはなりません。

菌の侵入から発病までは短いケースで数日、長いケースでは2ヵ月以上ということもありますが、たいていは1~2週間ほどです。

初期の症状は、首すじが張る、ものを噛むと疲れる、傷口の部分の違和感、からだが全体にだるいなどで、次に顔の筋肉がこわばって口を開けにくくなり、肩や背すじなどにもこわばりを覚えるようになります。このあたりまでに適切な処置をほどこせるかどうかが分かれ道で、手当が遅れると重症化してしまいます。その場合は顔、首、胸、腹、手足などの筋肉に継続的なけいれんがはじまり、筋肉の障害から発語や排便、排尿が困難になることもあります。多くは微熱を伴いますが、熱がでないことも、40度以上の高熱が出ることもあります。

さらに進むと、全身のけいれんが頻発、ちょっとした刺激からけいれんの発作を起こして、からだを弓のように反り返らせ、手足を突っ張らせて苦しむようになります。

食事も歩行も不可能になり、多くは、最後に呼吸困難に陥って死亡します。

診断・治療

血清(破傷風ヒト免疫グロブリン)を注射し、菌がつくりだした毒素を中和します。破傷風菌そのものは、ペニシリン系の抗生物質によって殺すことができますが、破傷風毒素には効果がありません。処置が遅れるほど効果を期待できなくなるので、早期治療が大事です。また、強いけいれんを抑えるため鎮痛剤を用いることもあります。

全身けいれんの段階になった場合は、呼吸困難への対応として麻酔で呼吸菌を弛緩させ、気管を切開して人工呼吸器を用いるなど、麻酔医によるケアが効果を発揮します。

刺激を避けるため、暗い、静かな病室での入院治療(3~5週間)を要します。

また、もとになった傷については、汚れや異物を取り去り、傷口を広く切開して消毒液で十分に洗います。ケースによっては、その部分を大きく切除することもあります。

なお、傷口の汚れがひどい場合は、症状があらわれていなくても、予防的な治療として血清注射をすべきです。その場合は破傷風の予防接種も受けておきます(すでに予防接種を受けたことがある人にも行います)。

破傷風の予防接種

3種混合ワクチン(DPT・沈降精製百日ぜき・ジフテリア・破傷風混合ワクチン)を、
一期・生後3ヵ月~4歳の間に、3~8週間隔で3回注射。
二期・一期後1年~1年半の間に1回注射。
三期・12歳でジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)を1回注射します。

予防

傷ができたときはよく消毒し、十分に手当をほどこします。傷口が大きいときや汚れがひどいときなどは、外科医の手当てを受けておいたほうが安全です。

破傷風の毒素を無害化した破傷風トキソイドの予防接種を、健康なときに受けておきましょう。小児の場合は3種混合ワクチン(破傷風・ジフテリア・百日ぜき)の予防注射を受けることができます。