帯状疱疹



受診科:皮膚科・麻酔科
帯状疱疹たいじょうほうしん
水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。激しい痛みを伴ってからだの片側に帯状の発疹が出ます。

原因

帯状疱疹を起こすのは、水痘(水疱瘡みずぼうそう)と同じウイルスです。水痘・帯状疱疹ウイルスは免疫のない人に感染すると水痘になり、これは治ったあと強い免疫力が残るので、二度かかることはありません。ところが、ウイルス自体は脊髄神経節の後根というところに遺伝子の形で潜んでいて、のちに免疫力が低下したときに再び活性化して、今度は帯状疱疹として発現します。

発症の誘引は、ほとんどが高齢、ストレス、睡眠不足などの過労状態ですが、全身性の疾患(悪性リンパ種、白血病、肺炎、肺結核、糖尿病など)や、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤などの薬、また外傷、X線照射などによって起きることもあります。

水痘にかかってから帯状疱疹になるまでの間は、短くて2年。何十年というのがふつうですから、かかるのはほとんどが20歳以上の人です。

症状

はじめ、右か左かどちらか一方に神経痛のようなピリピリした痛みを感じます。この痛みは高齢者ほど強いのが特徴で、痛みというよりアリが走るような感覚、衣服が触れると変な感じがする、針を刺すような痛みであるなど、人によって感じ方はさまざまです。

また、首やあごの下、わきの下、太もものつけ根のリンパ節がはれる場合もあり、三又神経痛(目の周りから額にかけて)、片頭痛、肋間神経痛(肋骨に沿った部分)、坐骨神経痛(臀部から下肢にかけて)などの単なる神経痛と区別ができることもあります。

しかし、区別の難しい場合も多く、発疹が出てはじめて診断がつくことが多いです。

痛みと同時または数日遅れて、痛みを感じている部分にはじめ、ちょっとふくれた虫にさされのような赤い斑が出て、だんだんと粟粒大の水疱となります。まれに、水泡にならないまま治ることもあります。悪性リンパ腫、膠原病にかかっている人や、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を長期にわたって使っている人の場合は、帯状の皮疹のほかに全身に小水痘がでることがあります。

発症しやすいのは季節の変わり目です。

診断

片側だけに小水痘や赤い丘疹がでていること、皮疹の出ているところに関係する神経に強い痛みがあることが診断の決め手です。子どもの頃かかった水痘がどんな状態であったか、発症誘因はなかったかなどもチェックします。

治療

治療は3日以内にはじめるのが効果的です。

丘疹や水痘の出ているところに抗ウイルス剤の入った軟膏を塗ります。抗ウイルス剤の内服とともに、神経痛を軽くするための消炎剤、ビタミンB12製剤を併用します。発熱や食欲不振などの全身症状があったり、症状が重かったりするときは入院のうえ、免疫グロブリン製剤や抗ウイルス剤の点滴を行います。帯状疱疹は。角膜炎や顔面神経麻痺(ハント症候群)、内耳障害、味覚障害など、怖い合併症を起こすこともある病気です。とくに頭や顔に発疹が出ているときは、入院して治療を受けるほうがよいこともあります。目の周囲の場合には、眼科的フォローも必要です。

予後・経過

水疱は、数日のうちに黄色くなったり、出血して赤紫色になったり、ただれたりしますが、2週間ぐらいで乾燥してかさぶたができます。水疱が深いときは、跡が残る場合があります。また、疱疹後神経痛が残る場合がありますが(高齢者に多いが個人差がある)、大半は時間とともに軽減していきます。この場合、対処療法として鎮静剤とビタミンB12製剤の内服を続けます。また、外用療法として、痛み止めの軟膏を用います。

疱疹後神経痛を残さないためにも、また合併症を起こさないためにも、皮膚科での早期の適切な治療と、十分な安静が大切です。なお、早期の神経ブロック療法が効果を上げることもあります。

予防

帯状疱疹はほとんどの場合、二度かかることはありません。でも、免疫力が極端に落ちているときに一度眠ったウイルスが目を覚ます可能性がないとはいえません。疲労やストレスをため込んで、再び誘発させることのないよう注意します。

また、水痘にかかっていない子どもや免疫低下状態にある人は、うつる可能性があるので、近づけないようにしましょう。米国では、2006年に60歳以上の方と帯状疱疹ワクチン(日本で開発された水疱ワクチンのこと)が許可されました。約50%の方の発症を抑え、痛みを残す人は3分の1に減っています。

日本でも、高齢者への摂取が検討されていますが、いまは自費となります。