アトピー性皮膚炎



受診科:皮膚科
アトピー性皮膚炎は遺伝的傾向をもつアレルギー皮膚炎。以前は年齢とともに治るとされていましたが、かえって悪くなる場合も、大人になって発症する場合もあります。

原因

アトピー性皮膚炎の人の血液を調べると、アトピーアレルギーを起こす抗体、免疫グロブリンE(lgE抗体)が多量に認められることがあります。でも、この値が高くてもアトピー性皮膚炎にならない人もいるし、低くても症状の重い人もいて、アトピー性皮膚炎には、外界からの刺激や精神的な原因も大きく関与していると考えられています。

アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となるもの)に関しても乳幼児では3大アレルゲンといわれる、卵、牛乳、大豆が、また大人ではハウスダストやダニなどが原因となることが多いものの、それだけがすべてとはいえず、まだわからないことも多い病気です。

乳児の場合、よだれや離乳食などの食べこぼしが刺激となって、湿疹が出るきっかけになることも多くみられます。さらにそれをひっかくことによって、そこからいろいろなアレルゲンがからだに入り、lgE抗体がつくられてアトピー性皮膚炎になることが多いです。

外からの刺激物に対して敏感である子、皮膚が乾きやすい子がなりやすいということはできますが、それは遺伝的に肌が弱いからなのか、生活環境からなるのかは断定できません。

症状

アトピー性皮膚炎は慢性に経過する皮膚炎で、10年以上症状が続くのがふつうです。かゆみは激しく、かくと肌が象の肌のように硬くなります。

また、年齢によって症状が違うのも特徴です。

生後2ヵ月から3歳ぐらいでは、ジクジクした赤い皮疹がおもに頭から顔へと出て全身にひろがります。

4歳から10歳ごろでは、全身の皮膚がカサカサと乾燥してあちこちがかゆくなり、ひじやひざの裏側の皮膚が厚くなって、ザラザラする子が多いです。悪化する場合は、耳たぶの下が切れるいわゆる耳切れが出るのも特徴です。

12歳以降になると、繰り返しかきむしるため、皮膚は厚ぼったくなり、眉が薄くなるということもあります。

成人になると、顔や頸にジクジクした皮疹が出てきて、治療に難渋します。頸が黒くなる、いわゆるダーティーネックは特徴的な症状です。

副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)の使い方

副腎皮質ホルモン剤は、薬効の強いほうから、ストロゲンスト、ベリーストロング、マイルド、ウィークの5種類があります。ステロイドは強いものを長期連用すると、塗った部分の皮膚が萎縮したり、毛細血管が拡張したり、酒さ様皮膚炎などの副作用を招くこともあります。

炎症を抑える効果にとても優れた薬ですが、皮膚の状態や皮疹の出た場所、年齢などによって使う薬と使い方が違ってきます。専門医の指導のもとに正しく使うことが大切です。

診断・治療

血液検査などで原因物質をさがしますが、特定のアレルゲンがみつかったからといって、アトピー性皮膚炎と断定することはできません。皮疹の特徴的な分布、性質と状態、前に述べた年齢に伴う皮疹の推移、家族のアレルギー疾患の既往症などから、総合的に診断します。

対症療法として、保湿剤や副腎皮質ホルモン剤の外用薬が使われますが、症状や部位によって、その強弱や外用回数を替える必要があるので、信頼できる専門医のもとで根気よく地用することが大切です。抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤は、かゆみを止めて皮疹の悪化を抑える意味で、副腎皮質ホルモンの概要を最小限にするために使われます。

予後・経過

皮疹は、外からの刺激によって反応してでるものなので、生活環境が変わるとよくなったり、逆に悪くなったりすることが多いです。

また、受験や就職、仕事などのストレス、疲れやほかの病気などもアトピーの悪化につながりますから、生活そのものを良い状態にすることが大切です。

アトピー性皮膚炎は、患者やその家族がじんま疹やぜんそくなど、そのほかのアレルギー疾患をもっているん場合がすくなくありません。本人がそのほかのアレルギー疾患をもつ場合は、アトピー性皮膚炎とそのほかのアレルギー性疾患が追いかけっこで出たり(アレルギーマーチ)、同時に出たり、無関係だったり、いろいろなタイプがあるようですが、ほかのアレルギー疾患も同時に治療を続けることが大切です。

予防

アトピー性皮膚炎は、乳幼児のアレルゲンが卵や牛乳、大豆などの特定の食物であることが多いため、腸の機能が発達して、十分に食べ物を消化できる年齢になったら治癒するといわれていました。

しかし、放置したことによって、さらにひどくなるケースや、最近では大人になってから急に発病するというケースも増えています。ですからどんなに軽くても早くからまめにカサカサ肌のケアをし、皮疹があれば治療しなければなりません。

特定の食物アレルゲンがあって、それによってとくに症状が悪化する人はそれを避けますが、そうでない人が食事を制限する必要はありません。親の判断で乳幼児に食事制限を行うのは、絶対にやめてください。

肌のケアに関しては、石鹸(高級無添加オイルの美容洗顔石鹸 VCOマイルドソープトライアルなど)を使って毎日きれいに皮膚を洗います。ゴシゴシ洗うのではなく、ゆっくりていねいに洗って、そのあと保湿性の高いクリームや化粧水(みんなの肌潤ろーしょんなど)を外用するのが良いでしょう。お風呂も保湿性が高い入浴剤(みんなの肌潤風呂など)を入れて入浴することで改善されることが多いです。

また、汗は刺激となって症状を悪化させることもありますから、吸収性が良く刺激の少ない木綿の下着を用います。タグやゴワゴワした縫い目も刺激になるので注意してください。

日々の食事やサプリメント(アトケアプロなど)で、薬に頼らず自身の免疫力を高め、アトピーの症状をケアするというのも効果的です。アトケアプロ脱ステロイドを目指す方におすすめです。

アトピー性皮膚炎は、いったんかかるとしつこく続くこともあり、可能な限り予防することが大切です。

おもなアレルゲン

おもなアレルゲン
吸入性アレルゲン
ハウスダスト
(綿ぼこり、人や動物の毛やふけ、皮屑、繊維など)
ぜんそくの原因の一つとして古くから知られる
ダニ
(ヒョウダニ、ササラダニなど約40種)
ほこりのなかに潜む。ヒョウダニやカーペット1㎡あたり2000匹以上いるといわれている。
ダニの死骸や排泄物もアレルギーの原因となる。アトピー性皮膚炎、ぜんそくなどさまざまなアレルギーの原因
ペットの毛や皮膚
ペットアレルギーを起こす、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎などの発症と悪化の原因
菌類やカビ
(カンジダ、クラドスポリウムなどの菌)
カビの胞子が空気中に散りアレルギーを起こさせる
花粉
(スギ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなど)
アレルギー性鼻炎、花粉症の原因
大気中の有害物質
(自動車の破棄ガス、工場の煙など)
ディーゼルカーから出るNOxが吸入性アレルゲンと接触すると気道粘膜できゅうしゅうされやすくなり、lgE抗体をつくりやすくするとして問題になっている
食物アレルゲン
卵・牛乳・大豆
乳幼児の3大食物アレルゲン
大人のアレルゲンとなりやすいものは、エビ、カニ、小麦、牛肉、豚肉、サバ、マグロ、ピーナッツ、アーモンド、キウイ、トマト、やまいも、そば(そばアレルギーによるショック死もある)、米など
人工着色料などの添加物、防腐剤などの化学物質
その他
皮膚に接触するもの
化粧品、金属(アクセサリーなど)、衣料品(ウール、ナイロン、アクリルなど)
薬品
ペニシリンなどの抗生物質、解熱鎮痛剤、ステロイド剤など
職業性アレルゲン
ホヤ(カキの殻を打つと出る粉)、マブシ(養蚕)、コンニャク、ヒヨコの羽毛、セメントのクローム、実験動物の毛など
ストレスや過労
さまざまなアレルギー性疾患を悪化させる
自律神経や内分泌に影響し、抗体の生産機能を乱す
昆虫アレルゲン
(ヒドゲラ、チョウ、ガ、バッタなど)
昆虫の死骸や鱗毛を吸収したり、刺されたりしてアレルギー反応が起きる