肺がん(原発性肺がん)



受診科:外科・呼吸器外科・呼吸器内科
肺がんはいがん(原発性肺がんげんぱつせいはいがん)
気管支の粘膜から発生してくがんで、近年急速に増加しつつあります。男女計では胃がんを抜いて、日本でもっとも死亡者数の多いがんになりました。早期発見の場合の治療率は向上していますが、残念ながら発見は遅れがちなのが実情です。

原因

厳密にいうと原因はまだ特定できていませんが、タバコや大気汚染との相関関係は無視できないものがあります。

とくにタバコに関してはさまざまな報告があり、例えば1日30本吸う人は、まったく吸わない人の5倍も肺がんにかかる率が高いといわれています。同様に、30代から毎日20本以上の喫煙習慣があり、それを50代まで続けた場合、その率は10倍になるともいわれています。

また、近くにいる非喫煙者への影響も注目されており、夫あるいは妻が毎日20本以上吸っている場合は、その配偶者の肺がんにかかる率がおよそ2倍になるという報告もあります。

自動車の排気ガスなどによる大気汚染、職業病的な空気の汚染(アスベストなど、ちりやほこりを多量吸入する仕事に長期間従事しているような場合)といった、気道への刺激を受け続ける環境も、肺がんの原因の一つではないかと考えられています。

症状

多くはしつこいせきから始まります。気管支のがん細胞を押し出そうとして、反射的にせきが出るのです。また、たんが最初の自覚症状になることもあります。血がまじった血たんや膿混じりのたんになることが多いのですが、必ずそうとは限りません。たんが気管支にひっかかり、その障害によってかぜや肺炎のような症状(熱やせき、たんなどが長期間続く)を呈することもあります。

そのほか、無気肺(肺がふくらまない)による呼吸困難、胸の痛み、神経痛、顔面・頸・腕のむくみ、声のかすれなどの症状がみられることもあります。

ところで、気管支は肺の中でしだいに枝分かれして細くなり、最後は肺胞という、酸素や二酸化炭素のやりとりをする器官になります。比較的太い気管支に発生するがんを肺門型、細い気管支から肺胞までに発生するがんを肺野型といい、この2つは症状のあらわれ方などに違いがります。

肺門型

肺野型に比べ、早くから頑固なせきになやまされるのが特徴です。たんや胸痛などの症状も比較的早くあらわれます。

逆にX線撮影では発見しにくく、自覚症状から発見に至るケースがほとんどです。またときに、たんに細胞を調べる喀痰細胞診でみつかることもあります。

肺野型

肺門型とは逆に、かなり進行するまで症状が表に出ない代わりに、X線撮影による発見がしやすいという特徴をもっています。その多くは、定期健診や人間ドックなどの検査で発見されています。

原発性がん

ほかからの転移でなく、その器官自体から発生するがんをいいます。

診断・治療

たんの細胞診といって、採取したたんを顕微鏡で調べ、がん細胞の有無をみる検査があります。

肺がん発見の手がかりとして、胸部X線撮影とあわせて行われることが多くなっています。単純X線検査ではみえにくい部位では、CT検査が有効です。

確定的な診断をするためには、内視鏡検査を行います。ファイバースコープという、曲がっても光を通す管を気管支へ挿入し、病変部を直接観察して調べるものです。また、スコープの先で組織を採取し、それを細胞診にかけることも、良く行われます。また、胸膜ちかくの病変部には、胸腔鏡で生検して診断することもあります。

治療法としては手術療法、放射線療法、化学療法、免疫療法の4つがあります。

手術療法

肺の一部や周囲のリンパ節を、手術で切除する方法です。現段階では、もっともすぐれた治療法といえますが、発見が遅れた場合や患者が高齢、あるいは状態が悪くて手術を行えないケースもあります。早期発見による根治は、かなり期待できます。また、開胸を行わずに胸腔鏡での切除がおこなわれることもあります。

放射線療法

手術療法が行えないケースを補うもので、放射線によりがん細胞を死滅させます。延命効果はあるものの、根治はあまり期待できません。手術療法後、その取り残しを処置するために、行われることもあります。

化学療法

制がん剤の投与でがんの進行を抑え、延命効果をもたらします。多くは、すでに転移を起こしている進行したがんに用いられます。

免疫療法

化学療法と同様、進行したがんに用い、延命をはかります。ワクチンなどで免疫力を高め、がんの進行に対抗するものです。

予後・経過

早期発見のがんを手術でうまく取りきれれば、いわゆる5年生存率(治療後5年間再発をせずに生存可能な確率)は約60%です。しかし、進行したがんほどこの率は低くなり、化学・免疫療法しか行えないようながんの場合は、きわめて低くなります。

予防

現在のところ、肺がんを予防する確実な方法はありませんが、タバコを吸わない人のほうがかかる率は低い、ということはいえます。大切なのは早期発見・早期治療の心構えで、最低でも年に1回は検診や人間ドックを受けるようにしたいものです。喫煙者はとくにまめに検査を受けるべきでしょう。また、かぜのような症状が長く続くときには、速めに病院を訪ねてください。

国立がんセンターは、検診時に胸部X線撮影よりは低線量のCTが有効としています。早期発見には肺がんCT検診をお勧めします。

胸部X線撮影

肺は空気を多く含んでいるのでX線の透過性はいいのですが、病変があると細胞湿潤や壊死物質などの液体成分が多くなるため、X線の通りが悪くなり、影が写ります。