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受診科:内科・内分泌科
クッシング症候群くっしんぐしょうこうぐん
腎臓の上にのっている親指大の器官を副腎といい、その組織は皮質と髄質に分かれていて、副腎皮質からはアルドステロン、グルココルチコイド、性ホルモンなどのホルモンが分泌されています。なんらかの原因で、グルココルチコイドが過剰になる状態がクッシング症候群という病気です。

原因

クッシング症候群には、つぎにあげる4つのおもな原因があります。

副腎皮質の腫瘍など

副腎皮質にがんや腺腫、組織の異常増殖による過形成などが起こり、機能障害をきたします。

下垂体の腫瘍など

ホルモンを分泌する副腎皮質自体も、脳から送られてくる別のホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)によってコントロールされています。脳の中の下垂体という器官がその主体であり、この部分に腫瘍などができて、副腎皮質を過剰に刺激してしまうことがあります。これをとくにクッシング病と呼んでいます。

肺がんや胸腺腫など

肺がんなどにかかったとき、ごくまれに、副腎皮質刺激ホルモンに似た物質がからだの中につくられることがあります。

薬剤

副腎皮質ホルモン剤をさまざまな病気の治療に利用することがあります。この薬の大量投与をつづけていると、クッシング症候群になることがあります。

症状

顔が満月のように丸くなる満月様顔貌、手足などからだの先の方は細くなっていくのに、胸や腹などからだの真ん中のほうは逆に太っていく中心性肥満、この2つがもっとも特徴的な症状です。

そのほかにも、肥満のため皮膚が無理に伸ばされて亀裂を生じたり(進展性皮膚線条)、萎縮した皮膚の下で毛細血管が拡張して顔や手足が見た目に赤みを帯び、ちょっとした衝撃で出血したり、出血斑をつくったりすることがあります。

筋肉が萎縮するため筋力が大幅に低下し、これが心臓の筋肉にも起こるために心機能が低下して、ちょっと動いただけで動悸がするようになります。

さらに糖尿病や高血圧などの症状も起こってくるほか、感情的に不安定になり、精神異常のような様相を呈することがあります。

グルココルチコイド分泌異常によるクッシング症候群では、グルココルチコイドだけでなく、ときに男性ホルモンも過剰に分泌されることがあります。その場合、男性にはあまり影響しませんが、女性は無月経になったり、体毛が濃くなってヒゲが生えたりすることがあります。

診断・治療

血液を採取して、そこに含まれる副腎皮質ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンの量を調べます。それらが増加していると尿中の成分にも変化があらわれるので、尿検査もおこないます。造影X線撮影、CTスキャン、MRIのほか、放射性物質を体内に入れてその分布具合をみるシンチグラフィーという検査も行われます。下垂体など副腎皮質以外の場所に原因があることも多いので、それを確認することが大事です。

腫瘍が原因となっている場合は、悪性でも良性でも手術による摘出が原則です。ただしがんが進行して、手術で対応しきれないような場合には、抗がん剤などによる化学療法をとることもあります。

また、下垂体の腫瘍に対しては、手術せずに、副腎皮質ホルモンの分泌を抑制する薬で対処するケースも多くなっています。

手術に際してはなるべく主要だけを摘出するようにしますが、腫瘍の種類や症状によっては副腎の一部または全部、あるいは2つの副腎を療法とも摘出しなければならないこともあります。

予後・経過

手術後は副腎皮質の機能が著しく低下します。これを補うためには、副腎皮質ホルモン剤(ハイドロコーチゾンなど)の服用を続けなければなりません。副腎皮質の機能は徐々に回復していきますが、それには1カ月から、ときには1年以上もかかることがあります。

また、手術で副腎を2つとも摘出した場合は、副腎皮質ホルモン剤を永久的に服用する必要があります。

なお、生来の副腎皮質ホルモンには、細菌感染や外傷に対抗して分泌量を増加させる働きがあります。したがって、薬でこれを補っているときには、感染や外傷の際に服用量を増やさねばならないこともあり、その点に関しては医師と緊密に連絡を取り合って対応する必要があります。