脳腫瘍



受診科:外科・脳神経外科
脳腫瘍のうしゅようは脳細胞のほか、神経や血管、下垂体など頭蓋内の組織に発生する腫瘍は、いずれも脳腫瘍と呼ばれます。良性と悪性、原発性のものと転移性のものとがあります。

原因

原発性腫瘍の原因は不明です。ただし、遺伝的な要素が関与しているとみられるものも、わずかながら発生しています。

また、転移性腫瘍は肺がんや乳がんなどじゃらがん細胞が転移して発生するものです。

脳膿瘍

脳の中に細菌が感染し、化膿して膿のかたまりができる病気。

からだの他の部位に中耳炎、慢性副鼻腔炎、気管支炎、心内膜炎などの感染症がある、その原因細菌が脳に入るなどして起こりますが、調べても原因細菌が見つからない場合もあります。

発熱、頭痛、嘔吐、からだの片側の麻痺、けいれん、意識障害などがおもな症状で、脳腫瘍に似ています(脳腫瘍は熱は出ません)。

抗生物質と頭蓋内圧降下剤を使っても症状が改善しないなら、病巣を摘出する手術が行われることもあります。

抗生物質の進歩で、命にかかわるような病気ではなくなりましたが、腫瘍のできた場所が悪かったり、治療が遅れると、後遺症が残ることもあります。また、再発することもありますので、原因となった病気があれば、その治療も必要です。

症状

脳腫瘍が発達しておおきくなることと、腫瘍の周囲がむくんでおおきくなることのため、頭蓋内の圧力が異常に高まり、頭蓋内圧亢進症状を示します。

また、脳は知覚や運動をはじめとして人間の機能の大半をつかさどる器官ですから、腫瘍によって脳のどこかが害されるとその部位に応じた特徴的な症状があらわれます。これを局所症状といいます。

頭蓋骨内圧亢進症状

頭痛のほか、嘔吐、けいれん、複視がおもな症状です。

頭痛は突発的に起こったり激しく痛んだりすることはめったになく、たいていはいつからか鈍痛があるとか、なんとなく重い感じするといったような症状を示します。嘔吐はホースから水が噴き出すように吐くのが特徴で、嘔吐の前に感じる吐き気は弱く、いきなり吐く感覚です。しかも、吐いたあとの不快感も比較的少ないものです。また、複視とはものが二重に見える症状です。

内圧の亢進を放置しておくと、やがて生命維持に必要な脳幹部が圧迫により異常をきたし、死に至ります。

局所症状

運動中枢を阻害されればからだのどこかが動かなくなり、記憶中枢を阻害されれば記憶力が低下するといった具合に、腫瘍の発生した場所によって多様な症状が起こりますが、局所症状がまったくあらわれない例もしばしばみられます。

特定することはできませんが、たとえば以下のような症状がみられます。まず、知覚中枢や知覚の伝達経路を阻害された場合に起こる知覚異常があります。これが起こると、手足がしびれたり、熱い冷たい痛いなどの感覚がにぶったり、ときにはまったく感じなくなったりします。次に、うまくしゃべれない、ろれつがまわらない、ものの名前がわからないなどの言語障害と、視力低下、視野狭窄、複視などの視力障害、また聴力が低下する聴覚障害や、においがわからなくなる嗅覚障害、からだのバランスがとれなくなる平衡障害が起こります。

そのほか片麻痺とよばれる体の片側の麻痺、下垂体や視床下部、松果体が阻害されホルモン以上を生じた場合の無月経、肥満またはやせ、毛髪など体毛の増加まはた減少、末端肥大症などもみられます。さらに、顔面痛、めまい、耳鳴り、眼球突出、判断力や計算力の低下、性格の変化などもあります。

片麻痺

脳腫瘍、中枢神経系の感染症、障害などさまざまな原因でおこるからだの片側の麻痺です。原因が確定できない場合に、片麻痺と呼ばれます。

診断・治療

症状をくわしく調べ、前述のような知覚障害や言語障害が生じていないかどうか、生じているとすればどの範囲にどの程度生じているのかを確認します。精神面の異常も見逃せないポイントです。一般にこれらの診察によってある程度の診断を下すことが可能です。さらにより確実な診断をするため、また、治療方針を決めるためにそのほかの検査を行います。

すなわち眼底検査、脳波検査、筋電図検査、X線撮影、超音波検査、CTスキャン、MRI、脳血管のX線撮影、脳脊髄液検査、脳アイソトープ検査などです。

脳腫瘍の治療には手術療法が最も有効ですが、腫瘍の種類や位置によっては放射線療法や化学療法を用いることがあります。

手術療法

良性腫瘍は正常な脳細胞とは別に一つのかたまりになっていて増殖もないため、手術で完全に摘出することが可能です。以前はふつうのメスを使う方法だけでしたが、現在はニューロナビゲーターといい、コンピューターで腫瘍の位置を確認しつつ切除できるようになりました。

悪性腫瘍は急激な増殖と転移を起こし、正常な細胞と複雑にからみあっていて、境界不明です。そのため手術が困難で、全摘できたと思ってもどこかに腫瘍が潜んでいて、再発することも少なくありません。また、腫瘍は脳の一部でもあるので、大きな腫瘍を全摘すると生命に危険が及び、障害が残ることも多くあります。

さらに良性腫瘍でも、生命維持に不可欠な脳幹部などに接近しているものは手術ができません。そうした場合は放射線療法や化学療法に頼ることになります。

放射線療法・化学療法

放射線療法は、放射線を照射sて腫瘍を破壊するものです。かなりの効果があるものの、完治は期待できません。一般的には手術でとれるだけとり、残りの腫瘍に対して用います。ただし、腫瘍によっては放射線が非常に有効な種類のものがあって、その場合はガンマナイフやサイバーナイフで集中的に病変部に照射することもできます。

化学療法はほかの療法ほどの効果はありませんが、悪性腫瘍に対してある程度の延命効果がみられます。

予後・経過

退院したあとも定期的に検査を受け、再発の危険に備えなければなりません。

悪性腫瘍の場合は、治療をいったん終えたあとも化学療法の抗がん剤などを服用し続けることになります。また、程度の差こそあれなんらかの障害が残ることも少なくないため、療養とともにリハビリテーションが必要になります。