横隔膜下膿瘍



受診科:外科・消化器外科
腹膜炎に起因する二次的な病気で、横隔膜の下面と肝臓の上面との間の腹腔に膿がたまるものです。横隔膜炎の症状に伴って呼吸・循環機能にも障害があらわれ、放置すれば生命の危険もあります。

原因

横隔膜は胸部と腹部をわけている膜、腹膜は腹部臓器の表面および腹壁の内側をおおっている膜で、腹膜の上部は横隔膜のすぐ下にあります。

腹膜が細菌に感染して炎症を起こす病気を腹膜炎といいますが、腹膜炎そのものがふつうは二次的に発生する病気で、その多くは虫垂炎や胃・十二指腸潰瘍かいようなどを悪化させたときに起こります。

横隔膜下膿瘍のほとんどは、この腹膜炎からさらに二次的に発生するものです。腹膜炎を治療する際には炎症によってたまった膿を洗浄しますが、ときに取り残した膿が腹腔上部にたまって、膿瘍をつくることがあるのです。

また、治療前にすでにこの状態へすすんでいることもあり、虫垂炎などの治療後、なお症状の改善がみられないようなときは横隔膜下膿瘍を疑います。

症状

悪感やふるえを伴って、高い発熱状態が続きます。そのため食欲が減退して栄養状態が悪化し、全身衰弱となってしまうことも少なくありません。

おなかの上部、または胸の痛みを感じ、とくに患部を上から押すと強い痛みを覚えます。

どちらかといえば、やや放散型の痛みであるため、人によっておなかが痛むように感じたり、胸が痛むように感じたりと若干の個人差があります。

旨の痛みとして感じるときは、肺や横隔膜の病気と誤解しやすいので、注意を必要とします。痛みが左側に出るでることは少なく、大部分は、右上腹部あるいは右胸にあらわれるという点も、特徴の一つといえるでしょう。

また、横隔膜の運動が阻害されるために、呼吸機能に障害があらわれることもあります。

診断・治療

胸部X線撮影によって、患部の状態を観察すると、横隔膜(ふつうは右胸)が、上方へ押し上げられたような格好になっているのがみてとれます。

超音波検査、CT,MRIなどの画像で診断します。

横隔膜下膿瘍では白血球数の増加が顕著にみられることから、血液検査も欠かせません。

また、以前に虫垂炎や腹膜炎にかかったことがあるかどうかなどを、問診によってチェックすることも大切です。

治療は穿刺せんし手術で、腹腔内にたまった膿を取り除きます。

いずれにしても、処置が遅れると生命に関わる危険もあり、その意味で十分な注意を要する病気です。すみやかに正確な診断を下し、的確な治療を行わねばなりません。

予後・経過

早急に膿を排出することができれば、予後はおおむね良好です。炎症に対抗するため、抗生物質も用いられます。

術前、術後を含めて、数週間の入院が必要です。