肺結核



受診科:内科・呼吸器科
結核は一昔前の病気のように思われがちですが、いまでも数万人の人が発病しています。全体の約80%が中高年・高齢者です。

原因

結核菌は空気とともに吸われて肺内に入り込み、肺の端に小さな病変をつくります。健康な人だと体内のリンパ球を中心にした防御機能が働くので、発病するのは数%です。一度に大量の菌が侵入した場合や栄養不良の人、過労の人、乳児、高齢者などは病気が進行することがあります。

感染源となる患者のたんに結核菌が出ていて、患者が激しいせきをしているとき、それまで結核にかかっていない人が、患者と話をするくらいの距離で接触している場合などに感染が考えられます。

症状

初期の段階で無症状のことが多いのですが、病気が進行するにしたがって発熱、せき、たん、胸痛、血たん、息切れ、喀血、寝汗などの症状がみられるようになります。

典型的な結核の症状というものはないので、これらの症状がみられたら肺結核を疑って検査を受けることが大切です。

診断・治療

肺結核の疑いがある場合は、まず胸部X線検査を行います。もし影がみられたら、肺結核なのか、肺炎か、良性腫瘍か、肺がんかを診断しなくてはなりません。その場合、断層撮影やコンピューター断層撮影(CT)、MRIなどでくわしく調べます。

さらにたんや咽頭粘膜、胃液粘膜、胃液採取で非結核性抗酸菌ではなく、伝染性の結核菌であるかを知ることができ、抗結核薬も決定します。

伝染性の高い結核菌の場合は、結核専門の病院へ入院することになりますが、これは結核予防法によって入院費が公費負担となります。

血液検査では、結核が進行しているときは血沈が速くなります。また、診断がつきにくいときには気管支鏡検査を行うこともあります。これはファイバースコープを気管支の中に入れ、異常部分から組織の一部を採取して検査する方法です。

肺結核の治療は、ストレプトマイシン(streptomycin)が発見されて以来、次々に抗結核薬が開発されてきました。とりわけファンピシンは殺菌力が強く、治療に大きな成果を上げています。

注意することは、規則正しく薬を服用することです。どれかを飲むのを忘れてしまうと結核菌に耐性ができ、効き目がなくなってしまいます。

副作用にも注意が必要です。リファンピシンは副作用が少ないのですが、尿が赤く着色して衣類などにつき、とれません。ヒドラシドには肝障害、エタンブトールには視力障害の副作用がみられることがあります。

こういった場合は、医師に相談してください。

肺外結核

肺外結核を起こした結核菌が、血流によって肺以外の部位に感染するもので、胸膜に感染すると結核性胸膜炎(胸水がたまり、痛み、息切れがある)、髄膜に感染すると結核性髄膜炎(食欲不振、不機嫌、興奮などの症状ではじまる)、関節に感染すると結核性腱鞘炎(腱に沿ってはれ、痛む)となり、そのほか、咽頭、腸、腎臓などにも感染することがあります。

いずれの肺結核も抗結核薬を使った化学療法を行い、各部位の炎症がひどく、症状が重い場合は、それぞれの状態に合わせて手術が行われる場合もあります。

非結核性抗酸菌症

結核菌も抗酸菌の一つですが、結核菌以外の抗酸菌を非結核性といって区別します。

予後・経過

以前は結核といえば療養所に入って治療をするものでしたが、現在では抗結核薬をきちんと服用していれば、安静にしていなくても通院で治療が可能になりました。ただし、菌が出ている間は入院して、たんの検査をしながら治療をしなければなりません。

抗結核薬のリファンピシンが使われるようになって以来、ほとんど再発することがなくなりました。

家族への感染が心配な場合には、保健所に連絡すれば、どのような検査をしたらよいか教えてくれます。必要な検査の費用は結核予防法によって公費でまかなわれるので、安心して検査を受けてください。これは外来で治療を受ける場合も同じです。

予防

成人の何割かはすでに結核菌が体内に吸収されていると考えられるので、会社や学校などの集団検査で胸部X線撮影検査を行います。

またツベルクリン反応は、注射をして48時間後に発赤の直径を測り、感染の有無を検査するものです。9mm以下なら陰性9mm以上なら陽性と判定します。

陽性の場合は、すでに結核に感染し、発病しないだけの抵抗力があると考えられます。陰性の場合には、BCGを接種します。

BCGというのは、毒性を弱めた結核菌の一種をツベルクリン反応が陰性の人に注射して、結核菌に対する抵抗力を強め、結核の予防をするものです。